人は年齢を重ねることで、多くの経験に裏打ちされた自信を身に着けていきます。しかし、その一方で、多くの喪失体験にも繰り返し晒されます。大切な物や人を失い、体力や身体機能の低下を感じるようになると、まるで何もかもを失ってしまったような気持ちになり、無力感や気分の落ち込みを生じることがあります。毎日の生活に楽しみを感じられずに孤立してしまい、時にはうつ状態や認知症のような症状を引き起こす場合もあります。そして、ご高齢者が持っているはずの能力までも、満足に使うことができなくなるのです。
このような状態になると、ご高齢者を抱えるご家族の心理的負担も大きくなります。厚生労働省研究班の発表によると、家族介護を行っているご家族の四人に一人がうつ病にかかっているそうです。だからこそ、ご高齢者の身体ケア・生活ケアに加えて、「心のケア」が重要になってくるのです。ご高齢者を心理的にケアし、過剰な喪失感や不安感を軽減していくことで、使えなくなっている能力を存分に発揮していただくことができます。それによって、ご家族の身体的・心理的負担も軽減することができます。 |